マイホームなどの不動産をお探しの方で、よい立地にあるマンションや戸建物件の中でも相場より安い不動産を見つけることがあります。
数は少ないのですが、「オーナーチェンジ物件」と呼ばれる不動産です。投資用不動産物件ですが、既に賃貸中の不動産物件が売りにだされています。
こうしたオーナーチェンジ物件に自分で住むために購入する人がいます。
オーナーチェンジ物件の特長
不動産投資家が、オーナーチェンジ物件を購入する場合は、リスクを十分に理解したうえで購入しているはずです。すぐに家賃収入が入るメリットがありますが、住宅ローンが使えなかったり、入居者の確認ができなかったりするため、経験者でなければすぐに購入すべきではありません。
あえて自己居住のためにオーナーチェンジ物件を購入する前に、オーナーチェンジ物件の特長について知っておきましょう。
オーナーチェンジ物件について
オーナーチェンジ物件は、現在賃貸中の不動産物件のことで、賃借人はそのままで不動産物件を売買することです。
マンション1室でもアパート1棟でも、戸建住宅、店舗や事務所でも種類には関係なく、オーナーチェンジ物件と呼びます。オーナーとは所有者のことです。オーナーは変わりますが、賃貸契約も次のオーナーがそのまま引き継ぎます。
空室の状態や売却後に空室になる予定であっても、現状ではオーナーチェンジ物件とみなされます。売却時にも賃貸借契約を引き継ぐので、新しい所有者には、現在の入居者が退去する場合は敷金の返還義務なども発生します。
入居者とどのような賃貸借契約を結んでいるのかということは、とても重要なことです。家賃保証による借り上げ契約を結んでいる場合や家賃回収を管理会社が行っている場合もあります。複雑な契約形態になっている場合がありますし、賃貸物件は分譲物件と比べると作りも全く異なり、一般的なグレードの物件が多くなっています。
投資用物件と居住用物件の査定方法も違いますが、一般的にはオーナーチェンジ物件のほうが1割ほど安い価格になっています。
オーナーチェンジ物件のメリット
現在、入居者がいる「オーナーチェンジ物件」は、不動産投資家には人気があります。
経験者なら、即金で購入する場合もあります。オーナーチェンジ物件は、利回りが高くなることが多いので、目利きのできる不動産投資家にとっては投資としてのうま味があると考えられます。
利回りが高め
オーナーチェンジ物件は、空室の状態で売っているわけではなく、入居者がいる状態で売り出されています。まるで身売りされているようなイメージですが、入居者には後になってからしかそのことはわかりません。
オーナーチェンジ物件は、すでに利回りが確定しており、その入居者が賃料を支払い続ける限り、毎月賃料収入が入り続けます。オーナーチェンジ物件が安いこともあり、相対的に利回りは高めになります。
これが空室なら、リフォームが必要ですし、入居者を募集する手間や費用もかかります。あくまでも賃貸を続ける限り、オーナーチェンジ物件はメリットの高い不動産物件です。
すぐに家賃収入が入る
オーナーチェンジ物件を購入した後もすぐに賃料収入が入ってきます。住宅ローンは使えませんが、投資用ローンが使える人や即金でオーナーチェンジ物件を購入できる人にとっては、すぐに安定した賃料が入る優れた投資先です。
利回りも確定しており、資金計画も立てやすい点は大きなメリットです。今の入居者が退出するまで、リフォームや賃貸募集の手間と費用もかかりません。
物件価格は安めのオーナーチェンジ物件
オーナーチェンジ物件は、居住用の不動産物件に比べると、安い価格に設定されています。これは、所有者の使用が制限されているためです。
利回りも確定しているので、想定利回りの空室物件と比べても物件価格は低くなってしまいます。相場よりも安すぎる賃料で賃貸している場合もありますが、利回りが計算できてしまうので、物件価格が低くなってしまうようです。
これはオーナーチェンジ物件を購入する側にとってのメリットとなります。
オーナーチェンジ物件のデメリット
賃料がすぐに入るオーナーチェンジ物件にもデメリットがあります。事前にオーナーや入居者、周辺環境などに何かトラブルがないかどうかをチェックすることは大変重要です。
低金利の住宅ローンが使えない
居住用の低金利の住宅ローンは使えません。すでに賃貸物件として他人に貸している物件です。自分で居住するわけではないので、住宅ローンではなく、アパートローンといった投資用ローンになります。金利も大幅に上がってしまいます。
自分で住むようになれば、住宅ローンに切り替えることができますが、一括返済を求められる場合があります。
室内が確認できない
原則として購入前に室内を確認することはできません。まれに入居者がOKを出して、室内を見せてくれることがありますが、ほぼ見ることはできないといってもいいでしょう。室内の状態は、入居者が退去するまでわかりません。
オーナーの都合で退去させるわけにはいきません。入居者にも居住権があるからです。事前にわかる範囲で物件の室内の資料や修繕履歴を確認するしかありません。
入居者に会うことができない
オーナーチェンジ物件では、購入前に入居者に会うことはできません。
入居者の詳しい情報を審査することはできないので、賃貸借契約書といった書面でしか詳しいことは確認できません。入居者の日頃の生活や性格、トラブルの有無、家賃の支払いが遅れることが多いといった情報も事前には教えてくれません。購入した後によく調査し、対策を打つしかないでしょう。
オーナーチェンジ物件を購入する理由
同じエリアの同じような間取りの居住用物件に比べると1割程度安くなっているオーナーチェンジ物件。
こうした不動産物件は、経験豊富な不動産投資家やどうしてそこに住みたいと考える人が購入することが多くなります。さまざまな購入理由について調べてみました。
立地がよい賃貸マンション、戸建賃貸など
立地のよい賃貸マンション、その場所にしかない戸建賃貸など、今は賃貸中でもいずれは入居者が退去する時期がやってきます。
オーナーチェンジ物件は、一般的に居住用物件に比べると価格が安くなっています。立地のよい収益物件は、分譲マンションや分譲戸建て住宅ではなかなか手に入りません。
そこで収益物件として売られている物件を購入し、今の入居者が退去した後に自分が入居すればいいでしょう。
居住用より価格が安いオーナーチェンジ物件
オーナーチェンジ物件は、収益物件として建てられた賃貸専用の建物です。
居住用の分譲マンションや分譲戸建て住宅に比べると、使用している建材や設備のグレードも一般的なものになります。利回りを重視する投資家が多いのでどうしても分譲物件よりも安くなってしまいます。
しかし、立地がいい場合や近くに職場がある場合、お子さんの学校への通学に便利だという場合があります。こうした物件を安く購入し、後になって自分で住んだり、再度賃貸として貸し出すことができます。
近々退去する事情を知っている場合
オーナーチェンジ物件であっても、近々退去する予定の物件も多数あります。高利回りのオーナーチェンジ物件の中には、投資家に高値で買わせようと高めの家賃を取っている場合があります。
周辺相場よりも高すぎる場合でも、近々入居者が退去する予定ならば、逆に次は自分で住むことができますし、それまでは高めの家賃収入が入るというメリットがあります。
オーナーチェンジ物件に住む際の注意点
自分が住むために欲しいと思った不動産がオーナーチェンジ物件だった場合でも、購入してはいけないという理由はありません。
オーナーチェンジ物件の性質をよく理解し、デメリットやリスクに対する備えやカバーができれば、購入する価値は十分にあると考えられます。
競争率が高くなかなか見つからない
不動産投資家にとって、安定稼働しているオーナーチェンジ物件は、大変人気があります。投資家は高値で購入するわけではありませんので、できる限り安い投資物件を購入します。そのため、競争率が高くなり、ネット上で見つけてもそう簡単に購入できない場合があります。
入居者が退去するまで住めない
契約期間は、普通借家契約なら基本は2年更新です。定期借家契約なら契約の更新がない場合もあります。1年や5年と定めている場合もあります。契約の残り期間を見ながら、更新の半年前に自己居住のための通知を事前に行います。
しかし、オーナー側の都合で契約を打ち切ることはできず、自動更新されてしまうこともあり、立退料や引っ越し代などを請求される恐れもあります。「法定更新」があるので、オーナー側が一方的に追い出すことはできないということです。
購入前に必ず売却理由を確認
おいしいオーナーチェンジ物件はそう簡単に売り出されることはありません。オーナー側になんらかの事情があるはずです。前オーナーの個人的な事情で売却するなら問題ありません。
しかし、入居者の家賃滞納が多い、マナーが悪い、何かとトラブルの多い物件だということで、やむを得ず手放す場合があります。不動産仲介業者を通す場合は、間接的にオーナー側の売却理由を確認しておきましょう。
保証人や敷金の問題を要確認
今の入居者の賃貸借契約をよく確認してください。保証人がついていない場合、家賃が保証されない場合があります。いなければ管理会社に家賃保証をつけてもらうようにしましょう。
いずれにしても滞納が続くようなら、強制的に退去してもらうしかありません。
また、敷金も前オーナーから引き継がれます。家賃滞納時には一部は敷金から差し引かれますが、契約が終了したときには残金を返還しなければならないからです。
居住用住宅ローンに変更できるか?できれば現金一括で購入
住宅ローンやセカンドハウスローンも使えないので、頭金が必要ですし、金利が高い投資用ローンを使う必要があります。
銀行や借主の信用力によっては、投資用ローンから住宅ローンに変更できる場合がありますが、同じ銀行からは印象が悪くなってしまいます。そのため、安い中古物件であれば現金一括購入がおすすめです。
まとめ
投資用のオーナーチェンジ物件に自分で住む場合のメリットやデメリット、注意点などについて簡単にまとめました。
居住用としてみると、全く違ったメリットが見えてきます。同じオーナーチェンジ物件でも、自己居住と賃貸との両面を考えて活用することができます。